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★☆《不動産業における空き家対策の推進に向けた取組について》★☆

皆様、こんにちは。

「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(改正法)は昨年12月に施行されており、不動産業における空き家対策の推進に向けた取組は、今後本格的に進められます。

本稿では、同年12月の社会資本整備審議会産業分科会不動産部会での国土交通省

資料をもとに、空き家対策の現状、取組と課題、方向性等について概要をご紹介します。

1.改正法の概要

 改正法のポイントは、一つ目は所有者の責務強化です。現行の「適切な管理の努力義務」に加え、所有者に国、自治体の施策に協力する努力義務を追加しています。

二つ目は、空き家の活用拡大です。中心市街地、地域の再生拠点、観光振興を図る区域等で市区町村が「空家等活用促進区域」や活用指針を定め、用途変更や建替え等を促進し、また、市区町村長から所有者に対し、指針に合った活用を要請することができます。また、市区町村長が一定のNPO法人、社団法人等を「空家等管理活用支援法人」に指定し、これにより所有者等への普及啓発、市区町村から情報提供を受け所有者との相談対応、さらに市区町村長に財産管理制度の利用を提案することができます。

三つ目は、空き家の管理の確保です。放置すれば特定空家になるおそれのある空き家(管理不全空家)に対し、管理指針に即した措置を市区町村長から指導・勧告することができ、勧告を受けた管理不全空家は、固定資産税の住宅用地特例(1/6等に減額)が解除されます。

 四つ目は、特定空家の除却です。勧告等の円滑化のため、市区町村長が空き家の調査をすることができ、代執行の円滑化のため、命令等の事前手続を経るいとまがない場合に緊急時の代執行をすることができるとしています。

2.空き家の現状

空き家の総数は、この20年で約1.5倍(576万戸→849万戸)に増加していますが、長期にわたって不在の住宅などの「居住目的のない空き家」(いわゆる「その他空き家」:349万戸)がこの20年で約1.9倍に増加しています。この「その他空き家」の3/4超が昭和55年以前(新耐震基準以前)に建設されたもので、「その他空き家」349万戸のうち、「腐朽・破損あり」が約101万戸とされています。

また、空き家の取得経緯は相続が最も多く54.6%、所有者の居住地から空き家所在地まで所要時間は1時間超が約3割。管理面での心配事については、「住宅の腐朽・破損の進行」が最も多く58.0%、「心配事はない」は20.5%にとどまっています。空き家所有世帯の家計を支える者のうち、6割超が65歳以上となっています。

3.空き家の流通・利活用に向けた取組と課題

(空き家バンクについて)

通常の不動産市場では流通しづらい空き家の流通・活用の目的に、各自治体で空き家バンクが設置・運営されています。空き家バンク担当職員数は2人以下が72%。また、49%の地方自治体が民間団体等と連携しています。地方自治体は、空き家バンクの運営にあたり、現況の確認等について宅建業団体等と連携する一方で、地域活性化等の取組と併せて総合的に空き家対策に取り組むことで一定の成果が期待できるのではないかとしています。

(空き家の流通における課題)

「全国版空き家・空き地バンク」に現在掲載されている物件数(土地含む)は約1.3万戸であり、その他空き家数(349万戸)と比較して0.4%、新耐震以降と推定されるもの(約62万戸)に限っても2%にとどまる状況です。空き家の活用の取組を進める自治体においては、主に 「行政のマンパワー」や、「空き家の所有者等へのアプローチ」に課題意識があるとしています。

 空き家所有者から見ると、その35.6%が空き家について「放置・何も考えていない」と回答し、「不動産業者に利活用の相談をしている」は5.6%です。なお、消費者の不動産業に対するイメージは、20代を除くすべての世代で「悪い」が「良い」を上回っている状況で、空き家の所有者等にとって、相談先としてイメージしにくい、又は相談しづらいと考えている可能性があります。

 不動産業者から見ると、売主から依頼を受けて対応する業務の内容は、不動産業者が通常媒介に先立って従事するものですが、物件の状況等によって負担が大きくなる場合がある一方で、業務負担に対して収益性が低いといった、ビジネスとして取り扱ううえでの課題が存在します。(成約までの期間における空き家の管理について、媒介報酬と別に受領した金銭「なし」が8割強です。)

4.不動産業における今後の取組の方向性

空き家の活用促進に取り組むうえでは、所有者等へのアプローチの拡大・掘り起こしの強化が大きな課題です。所有者等の視点からは、

①簡単にアクセスでき、ニーズに合う相談窓口が選択できること、

②適切なアドバイス・専門家の紹介が受けられること、

③空き家の状況等に合わせた適切な活用方法が選択できることが望ましく、

上記いずれのプロセスについても、ノウハウを有する不動産業や宅建士の活用、役割拡大が期待されます。(一方で、現状、所有者等にとっては、不動産業者が相談先としてイメージしにくい、又は相談しづらい可能性もあります。)

国土交通省は、不動産業による空き家業務への参入を促進し、空き家の流通拡大につなげるため、相談対応から管理・利活用・流通に至るまで、官・民で目指すべき方向性を共有して、一体的に取組を強化することが必要で、官民一体で取り組む施策パッケージ「不動産業による空き家対策推進プログラム(仮称)」の策定を目指し、さらに取組を具体化し、実行するとしています。(令和6年中頃目途にプログラム策定)

 また、改正法により、空き家の所有者等は適切な管理の確保に努めることとされており、所有者等においては、適切な活用方法の選択までの間において、第三者に空き家管理を委託するニーズが高まると想定し、実際のトラブル事例や委託者のチェックが働きづらい空き家管理の特性も踏まえ、不動産業者等の空き家の管理を受託する者が留意すべき一定のルールをガイドラインとして示すことで、空き家管理の業務の円滑な実施に資するのではないかとしています。

詳細は、以下の国土交通省のホームページでご確認ください。

「不動産業における空き家対策の推進に向けた取組について」

以上、不動産業における空き家対策の推進に向けた取組についてご紹介をさせていただきました。

弊社では、今後とも不動産取引をはじめとした不動産に関する情報発信を続けて参りますのでよろしくお願いいたします。